サイがはじめて熱を出した。みるみる上がる体温計のすごい数値にただおろおろする。いつか来ると思っていたけれど、とうとう。どうしようどうしよう。かわいそう。本人、にこにこしてるけど。あわあわしてトシオに電話。冷静なトシオ。動転とまらないあたし。ああ代われるものなら代わってあげたい。冷やしてあげるくらいしかできずにただずっとずっと見つめて夜が更ける。熱を下げるのに効果があるというキャベツを祈るようなきもちで頭にかぶせて。様子を見に来てくれたママが言う。「ママもそうやってまあちゃんのおでこにタオルのせてずーーっと見つめてたよ」みんなこうやって大きくなってきたんだろうな。
翌朝、熱がひいてたのしそうに笑うサイを見て、ものすごくほっとして思わず涙がでた。
よかったよ。よかったよ。
まったくもう、あたし、泣いてばっかりだよ。