だいすきなともだちが裸の写真を撮ってほしいと言った。あるとき、彼女が街を歩いているのを偶然道の反対側から見たことがある。彼女らしい服の着こなし、伸びた背筋、大股で歩く姿。あまりにかっこよくて口をぽかりと開けて、あたしは見とれた。そんな彼女がアクセサリーひとつもつけずに、そのままで撮ってほしいって言った。真剣そのものに生きてる彼女の決意を受け止めるのはとても覚悟がいる。でも、これをお願いするのは正子しか考えられないってまっすぐ目を見て言ってくれたので、撮ることにした。
彼女はものすごく毅然としててものすごく美しくて、あたしは撮りながらまだ寒い2月に汗をだらだらとかいた。こういう汗がでるものをあたしは写真と呼んでいる、って思い出した。そうだった。これが。ひととほんとうに向き合うということは、ものすごいエネルギーが、必要。向き合うふりなら、あの特殊な汗など、決してでない。カメラを持って立つ、あたしがどう生きてきて、いま、どこにいるかが問われる、と思った。
彼女はもちろんそんなこと尋ねるわけでもなく、ただ美しくそこにいただけだったけれど、あたしは特殊なセラピーを受けたあとのようなきもちになった。"おしゃれな"写真や"かわいい"写真なんてどうでもいい。あたしはこういうことをずっとずっとしていきたいって思った。
N、こんなチャンスくれて、ほんとうにありがとう。LOVE。