とにかくサヴァイヴする力が育ってほしいと思う。強いからだと心と、愛にあふれた魂さえあれば、あとはなんとでもなると思うのだ。詰め込まれた知識なんか、弱いからだの中に溜め込んでもほんとうに、何にもならない。どくどくと熱いものをぐるぐると体中にめぐらせる力強さが、すべてだと思う。あたしのまわりのすばらしい人々に共通する、その強さ。
そう思ってあたしは今日も、サイの手を引き、1才児とは思えないほどの距離をてくてく歩く。あたしたち二人の手の甲は日本人離れして黒く焼けている。けたけた笑って並んで歩くサイは日々めきめき歩行距離を伸ばす。やるな、なかなか。あたしが疲れてくるほどだよ。
それは、かつて父があたしの手を引いてターミナル駅の階段を何度も何度も往復したように。足腰が基本だ。父はこどものあたしに手加減せず、いつも歩いた。なぜかいつも帰り道は上半身はだかにされて。日焼けがよいとされていた35年前の話。
親になって親とそっくりな自分を日々、発見する。それはうれしいこと。
パパとそっくり、あたし。笑っちゃうよ。なんかさ、うれしくて。