秋とは思えないおかしな暑さが止まらない今日の夕刻に。ヤンキーナンバーの黒ゴルフワゴンを運転しながら奇声を何度も発したりハンドルにヘッドバンギングしたりシートベルトを首にまきつけたりといった奇異な行為が止まらない女を第一京浜で見かけた方はいらっしゃいますでしょうか。それはナカガワかもしれません。というか確実にあたしです。見かねてヒサトがampmでシュークリームとヨーグルトを買ってくれました。半泣きでその場で食べました。
今日はソニーのあの!出井伸之さんを!撮影したのでした。そして撮影はブジステキに終わったのでした。ヒサト曰くいつも通りでしたよと。いいお顔が撮れてるはず。でも、でも、自分が出井さんと平常心で向き合えなかったことが猛烈にくやしくて叫んだりしているのです。ひとにばれてなくても自分にばれてる。あああああああああ。
想像以上にあまりにも魅力的な方でした。彼のその存在感の重さを表現しようとしてもオーラがあるなどという普通の単語しか見当たらないのがまた口惜しく再び奇声を発してもいいでしょうか今すぐに。となりの家に住むやさしいおじいちゃんとおばあちゃんを驚かさない程度に。真のビジネスマンのすごさを垣間みた気がしました。きっと彼はどんなこともまぁいっかなどと放っておいたことなどないに違いない。好奇心とそれを実行する力にあふれ固いものも柔らかいものも世の中の出来事に精通している印象。ほんとうに自信のあるひとは何もひけらかさない。そんな出井さんの前にあってはあたしなんか昨日歩き始めたくらいのただの赤ん坊。ベイビイ。
ひとを撮る写真家っていうのは話すのが上手だよね、あなたもなかなかいいよと言われアタマの中で何かがショートしました。ぼんっていう音が聞こえたくらいです。ああこんなに血が沸騰した撮影はいつぶりかしら。北野武さんを撮ったときもこんなことにはならなかったのに。あのころはきっと若すぎてばかすぎて武さんのそのフランクなスタンスをそのまま何も考えずに受け止めちゃっていたからだわ。そのハイレベルな親切さにも気づかずに。今は少しわかるだけにタチが悪い。
まだまだこんなあたしじゃダメよって思ってはいるつもりだったけれど気づくとちょっとしたいい年になっていて年若い友人や後輩にはまんまと尊敬とかされちゃったりして(やめてよとかいいながら実はややいい気になって)仕事もうまい具合だったりして。早くオトナになりたくて何かをつかみたくて24時間すべてにじたばたじたばたしていた20代に比べるとスキなものも固まり自分の場所も見つかりいろんなことが上手にコントロールできるようなきもちになっていて周りをみても焦ったりしなくなって、ちょっと平地でのんびりお茶とかお酒とか飲みながらたのしくしていたところだったのです。ちかごろ。
でもこんなところで止まっている場合ではない。世界には知らないことが多すぎるのに。赤ちゃんのまま終わっている場合ではない。あたしをこのまま受け入れてくれるやさしいダイスキなひとびとだけに囲まれてぬくぬく遊んで酔っぱらっている間に脳みそがどんどんつるんつるんになってしまう。がむしゃらちゃんにまた戻りたいわけではないのだけれど自分がまだまだ全くまだまだだということを大いに思いだしました。
ポートレートには撮るヒト自身が写り込む。いつか出井さんの目をしっかり見て対等ににっこり向かいあえちゃうくらいの写真のヒトになりたい。今夜の赤い月に向かって誓いました。あたし、あたし、がんばります!!!
つきましては今日より年号が代わり中川正子オトナ元年と設定し猛烈に精進する所存です。
どうぞよろしく。