悪夢を見るとひとはほんとうにがばっと起きるものみたいです。昨日もあいかわらず時差ぼけで眠れずむりやり2時半に寝て4時に起きました。手にとれるようにこわい夢。あたしはたくさんのひとと下が見えないくらいの高さまで積み上げられた無数の石できた細い塔みたいなものをひとつずつ渡っていてゴールは見えず。まわりにいるのは見慣れた顔ばかりでくだらない冗談をいいながらゲラゲラ笑っているのだけれど一歩進むごとに足元の石が崩れていくのです。ねぇねぇなんで笑ってんの?こわくないの?ああ落ちちゃうよぉ。あたしは脂汗がでて気絶しそうで笑うどころじゃなくて引き返すにもスタート地点も遠く霞んでいて。笑顔ではるか彼方に滑り落ちて行くヒトビトを見ながら心の底から絶望的なきもちでした。自分の足の下の石もひとつひとつぐらぐらと落ちて行く。次に進むとそこも。どこまで進めばいいかちっともわからないし。ひとはこわすぎる時は声なんてぜんぜんでないし走馬灯のように普段のおだやかな日々を二度と手に入らない暖かいものとしてほんとうに思いだしちゃうんだと思いながらがばっと起きました。脈拍が140くらいありそうだった。
(普段は60以下)(←心肺機能じまん)
こわかった。ほんとにこわかった。
なんでこんなにおぼえているかというとあまりにもリアルだったから起きた瞬間に枕元のノートにダッシュでメモしたからです。
『高い石。ぐらぐら。落ちる。笑ってる。○○。●●。(トモダチのなまえ) 見えない。遠い。笑い声が消えて行く。』
……なんてこわいメモだ。
でもこのメモなくても思いだせるくらいほんとうのことみたいな夢でした。おそろしい。
ああ夢でよかった!!!
あたし何かに追われているのでしょうか?
こころあたりなし。
あるとすれば。
人生にイミのないことなんてないのだろうけど俯瞰で見ればすべては必要なできごとになっていくのだろうけどあたしはまだ今回のキューバの旅のイミをうまく咀嚼できないでいるみたいです。あまりに期待が大きすぎたから。神様的ななにかがこの脚本を書いているとするならきっとイミがあるんでしょ?ねぇ丸一日考えたけど頭が悪すぎてわからないから教えてよ。
帰ってくるときは疲労困憊であまり考えられなかったけれど戻ってきてからじわじわとボディブロウのように効いている。ザンネンなきもちが。行く前はほんとうに夢にみたのです。何万人ものハバナの人が踊り狂う前で演奏するMiyazawa-sickとか。それを撮ってるフレーミングまで。そして青すぎる空の下の街でしわだらけのおじさんが歌うのをぼけっと聞いていたり。まるで絵に描いたようなキューバの日々の夢を!!!
メンバーやスタッフのほうが圧倒的に無念に決まってるからあたしがこうやってくやしがるのはほんとうにほんとうに申し訳ないのだけれど。でも写真集が3冊だせるくらい写真を撮りたかった。Miyazawa-sickのレジェンドの終わりを見たかった。街をちゃんと見て人にちゃんとまみれて撮りたかった。人生を変えるくらいの旅になると思っていた。ウィルマのバカ!!!思った通りに行かないほうが人生おもしろいと早く思いたい。だから「思った通りに行かないほうが人生おもしろい」と巨大な毛筆で書いて床の間に飾りました。うそです。でも手帳には書いてみました。朝の5時に。本気で。今みてみたら何これやばすぎる。ひとに見られたらきっとものすごーーーーくはずかしいのでは。うわぁ。
ああもっとタフになりたい!!!
でもそんな中短い時間だったけどハバナにじゅるっと溶けてみようと思ってうろうろしました。
1時間くらい歩き回っただけでよっぽどめずらしいのか100人くらいが声をかけてきてじろじろと見てウィンクをし口笛を吹いてくる。クルマを運転しているヒトはクラクションを鳴らしてくる。通り過ぎる間中こちらを見つめながら。視線完全ロックオン。あぶないよお兄さん。ウィンクがまたこれが秒速に早いウィンクなのです。熟練の技。カップルで歩いてる男の子も彼女にばれないように音速で片目をつぶってくる。すごい。さすが愛の国だわ。ダンスをすれば腰から下が別の生き物のよう。5才くらいのコドモまでもがすごいセクシャルな腰つき。キャリアが完全に違うのね。ごはんはシンプルきわまりない。ごはんと豆とえびと。ラムとビールと。ひとはやたらとぼけっと道ばたにいてこっちが笑うと必ず笑ってくれる。写真を撮らせてくれた後は送ってって言う。こんなに送ってほしがる国ははじめて。今あたしの手元には写真を送っての長ーいリストが。
ゲンタさんがキューバには4つのものがあるって言ってました。
音楽とダンスと酒とセックス。
ほかのものはないけどこれはあるって。
ああ、そのほんのはしっこしか見られなかった。もっともっともっと見たかった。
また行こっと。決めた。ぜったい!!!