東京は寒いよ。わかっちゃいたけど寒い。空がせまいよ。これもわかっちゃいたけどせまい。女優のようなパーフェクトなフルメイクと高いヒールでかんかん歩くキレイなおねえさんを見てつい2週間前まで自分がどうやってここで暮らしていたのかわからなくなってしまいました。あたしだってメイクも細い服もヒールもお帽子もじゃらじゃらつけるアクセもダイスキだったはずだけど。(はずよね?)あまりにも毎日タンクトップいっちょでノーメイクでビーサンでぺたぺたと走り回っていたからどうすればいいか一瞬わからなくなりました。たった2週間だというのに忘れすぎ。実に。
予想を1mmも裏切らずハワイに心を1000%奪われて帰ってきました。奪われ方の種類としては沖縄くんに出会ったときと似ている。太陽と海に目がくらんでゆるんだ皮膚からサマザマなものがぐんぐんと侵入し内側から組成を変えて目を開き美しいものも悲しいものもいつもの何倍にも見えてしまうような。そしてひとびとに恋をしすぎて。ハートは大忙し。
実際ジェットラグもまだ抜けきれぬ初日からすごいひとに出会い写真を撮りながら気づいたらぼろぼろ泣いていました。きっとそのひとにはX線状態で中まですべて見えていてあたしのそのときのこっそり隠していた(はずの)きもちの状態まですっかり言い当てられてしまった。あたしはスピリチュアルなものとかひととかには非常に興味があるけれど、その分疑いのきもちもある。(インチキなひともいると思う。そういうひとはけっこうすぐ、ぷんぷんにおう。)でも、そのひとはほんものだったとおもう。(またそういうことすっかり信じ込んじゃってって言わないでちょうだい!!!全身でそうおもったのよ!!!)そしてその後も言葉にすると消えてしまいそうな奇跡的な出会いがいくつかありました。何度も鳥肌を立たせながら。灼熱の空の下でよ。
そういった立場のひとだけではなく出会ったひとびとの多くからアロハスピリッツと呼ぶべきひととしてのあり方みたいなものを毎日教えてもらっていたのです。すごくシンプルなこと。自然を愛しひとを愛し調和を愛し否定せず受け入れる、そういう態度。でかくて青くて何も拒まないうつくしい海みたいな。ほんものの笑顔とともに。敵意とか妬みとか闘争心とかいじわるとかそういうことからは無縁な。そして彼らの人生はほんとうにシンプルで家族とともだちを大事にして仕事もきちんとするけれど人生と仕事は別でthey don't live to work, they work to live. いきなり英語ですみません。でもそういうかんじ。仕事が悪いわけでは決してないしあたしもだいすきだけど、人生でほんとうに大切なことを決して見失わないそういう態度。シンプルだけど実はほんとうにむずかしい。ああ実にむずかしい。でもあの太陽と海と山の力のヘルプがあればできる気がした。アロハ魂初心者のあたしにでも。
そして出会ったひとでステキなひとびとのほとんどは生活にサーフィンが欠かせないものになっていました。やばい、やはりそういう流れか。と思ったのはここ何年かサーフィンが気になって仕方なかったのだけれどやっぱり時間ないしなとか海遠いしなと思って先延ばしにしていたのです。それがサーフィンくんついに来たかといううねりのようなものを感じたからです。ごごごっと。そのうつくしい心を持つひとびとに会って推察(というほどでもないけど)したことはサーフィンというものは単に波に乗るスポーツではなく自然を愛して自分を自然の一部なんだと実感する行為なのであろうということ。彼らは海を通してすごくでかいものにつながっている雰囲気に満ちていて深く信仰している宗教を持つひとにも似たゆるぎなさみたいなものがあったのでした。そしてそんな彼ら彼女らにいちいちフォーリンラブして別れに泣いてばかりいたのは言うまでもなく。(また会えるに決まってるじゃないと言われながら)
帰ることが現実的になってきた最終日のころから東京に帰ってからあの海と山と空の助けがなくこのアロハなきもちを保ち続けられるのか心配でたまらなかったけど何人ものひとに言われたのは答えも帰る場所もすべてここにあるという言葉。ここといいながらみんな親指で胸を指して。よくもわるくもすべてに影響を受けやすいあたしがこの街のスピードから浴びてもらうものは少なくはないけど内側にちゃんとサンクチュアリを持っていればきっと浄化できる。だいじょうぶな気がしました。ああだいじょうぶだと思いたいわ!!!
ハワイ、カウアイ、そしてサーフィンのことばかり考えていたらやっぱり眠れなくてお風呂でひさびさに日本語の本を読もうと思い村上春樹さんの『東京奇譚集』を持ち込みました。この本は誕生日にくぼくぼにもらってその日に1話目を読み、それからキューバに行ったり、なんだかんだで(なんだっけ?記憶にすらない)急にやたらめったら忙しくなり2ヶ月もたってしまっていた。愛する春樹さんの本をそんなに長い間読めずにほったらかしておくなんてどれだけばたばたしていたか。
そしてお風呂でしおりがはさんであった2話目を読もうとしておどろいて湯船に本をぼちゃりと落としそうになってしまう。タイトルはハナレイベイ。カウアイの湾での話。20時間前くらいまでいたカウアイの、さっきまでずっと考えていたハナレイでのサーファーの話。
ただ、それだけなんだけど。
スピリチュアルなものに触れてなにか大きなものの力を信じたい気分のせいも多分にあるとおもうけど。でもなにかつながっている。
あいかわらず旅のおわりはセンチメンタル全開でほんとすみません。
マハロ!!!
(写真は2000枚くらい撮りましたがまた。今日は洗濯の日なもので。)
(一枚だけ。)