もしもしユナイテッドアローズさんですか。
あの、アンアンに載っていた金色のカゴをキープしたいのですが。できれば銀色も。
近頃あたしの中ではやっているのは雑誌などに載っている情報と積極的に踊ることです。シュプールに載っている美容院にも行きました。(やや失敗)ギンザに載っていたお菓子も食べました。(うまかった)こんなこと15年以上していなかったので新鮮すぎ。たのしい。
雑誌っていろいろなことが載っているのね。感心感心。ダンス。
かつてまだ船橋の高校生だった15才のあたしはエムシーシスターの付録の渋谷マップを街で読むのはださすぎると思って毎晩眺め倒し結果暗記した記憶を元にソニプラにわくわくと向かいました。レスポートサックのバッグを何色にするか3時間くらいえんえんしつこく悩んでたった一つ選んで帰ってきて超オシャレな渋カジっ子だと思い込んで毎日だいじにだいじに持って大いばりで登校しました。(あのバッグどこ行っちゃったんだろう)
ネットはなく雑誌も少なくソニプラは千葉県にはなく人々は前髪をカールさせアメリカ合衆国がぴかぴかに見えた(少なくともあたしにとっては)時代。
大人になってあの頃よりすべての選択の幅は増えた気がする。増えたのか、見えてきたのかわからないけれど。そして選択の幅はおそらく責任の幅とぴったり重なるけれど。それに気づかないフリをしながら。たまに。
今日みたいにものすごい天気の日には可能性の粒子がいつもよりも細かく空に散らばって見える。あたしはここで車を止めてお茶を買うこともできるし窓を開けてとなりの人が驚くくらいの大きい声で歌を歌うこともできる。このまま高速に乗ることもできるしうっかり狛江の方に向かうこともできる。金色のカゴも銀色もカゴも買うこともできる。買わないこともできる。かたよった食事だけ摂り続けることも、柄と柄と柄を合わせて服を着ることもできる。アフリカに行ってみてもいいしアフリカの地図を壁に貼ってみてもいい。
全然うまく言えないけれど、なんかそういうこと。そういうことが玉川通りの上に浮かぶ空にさっきくっきりとぎっしりと書いてあったと思いました。選択のわかれ道から生まれる2乗3乗4乗5乗。天文学みたいな数の可能性のことが。
ドアを開けることもできるしドアを開けないこともできるし
ドアのことなんか忘れてしまうことすらもできる。
なんかそういうふうに思いました。ひさしぶりのお天気のお休みの日。